中学生に朝読書用の本を聞かれて本を選んだ
知り合いの方から中学生の娘さんが朝読書に何を読んだらいいかわからず困っているとの話を聞き、手をあげた私。「朝読書」って懐かしい響き。「夏の庭」とか「西の魔女が死んだ」とか「カラフル」とか、ティーンのころに読んでよかったと思う本があったことを思い出しました。
流行りものやら懐かしいものやらいろいろ薦めた中で、好評だった5冊をご紹介します。
①さくらももこ「もものかんづめ」
小公女セーラや長くつ下のピッピなど読んでいた私には、こんな文章が本になっていいんだ!と大変衝撃的だった一冊。それまでもエッセイは読んだことがあったけれど、こんなにくだけた文体で、友達にも話すのを躊躇しそうな恥ずかしいことをつめこんであるエッセイは初めて、そしてそれ以降もないかもしれません。親しみのあるイラストもあいまって、自分とは遠い健康や社会人の世界も自分事のように読めました。中学生からは「朝読書では笑わないようにするのが大変」とのこと。
②三浦しをん「妄想炸裂」
エッセイが好評だったので、こちらも薦めました。三浦しをんのエッセイは何冊も読みましたが、初期作品は若さもあって熱量がすごいので、今の私が読むと受け取るのも大変。ぜひ若いうちに、足りないよ!と次々に読み漁っていた自分のように読んでもらえたらいいなと思ってお勧めしました。中学生からは「船を編むを映画で見ていたから、ギャップにびっくり!好きなものがある人の話はおもしろい」とのこと。
③宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」
私も中学生の時に読みたかったーという気持ちを込めて選びました。本屋さんで見かけたことがあったそうですが、勧められなかったら読まなかったとのこと。タイトルからはどんな本かわからないですよね。スポーツものの本だと思っていたそうです。「こういう本がもっと読みたい」とのことでした。続編もあるよ!!
④瀬尾まいこ「卵の緒」
私の両親も、血のつながらない家族がいてその話をよく聞いていました。血のつながりと、そうでないつながりの境目を子どもながらに考えていました。年の離れた弟も自分が本当の子どもじゃないのではと疑っていたタイプ。両親の「橋の下で拾ってきた」という話を信じていました(その後両親は謝罪)。そんな時に出会ったこの本はまさにぴったり。「へその緒みせて」は、弟も言っていたセリフ。瀬尾まいこ小説にある、厳しくもあたたかいまなざしを体験してほしくてお勧めしました。中学生からは「読みやすい文章と長さだったし、他の小説も読みたくなった」とのことでした。つぎは「図書館の神様」どうでしょうか。
⑤伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」
伊坂幸太郎の中でもスカッとしたおもしろさならこれかなと選びました。私は昔から、スパイと忍者とギャングが好き。悪いことを計画しているとき(を盗み読んでいるとき)が一番ドキドキワクワクします。友だちでも家族でもない4人の関係性も魅力的です。学校では見つけることが難しい異年齢、境遇も性別も異なる人と関係を築くことの楽しさも知ってほしいと思って選びました。「それぞれの能力が漫画にはないような、変なものばかりで、だけどそれが上手に機能していておもしろかった」とのことでした。私は映画より小説を先に読んでもらいたいなーと思う一冊です。
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